レポート
魅力度ランキング最下位の茨城県の魅力を見つける
~つくば市で探究フィールドワーク~
2022年7月14日と15日の2日間、鎌倉学園高等学校の1年生のうち17名が茨城県に来てくれました。学校で設定されたテーマの中から各自関心のあるものを選び、1年かけて探求学習に取り組んでいる彼ら。今回は、茨城県のPRをテーマに選んだ生徒さんたちが、学校として2回設定している学習旅行の1回目。全員共通のプログラムで茨城県の魅力を見つけるべく、つくば市と石岡市を訪れました。
今回は、教育旅行の1日目のつくば市での体験学習をダイジェストでお伝えしていきます。
目次
1. 茨城県観光物産課の方からの講話
2. HATAKEカンパニー見学
3. 高エネルギー加速器研究機構見学
4. 振り返りMTG
2日目は石岡市へ
▼目次
1. 茨城県観光物産課の方からの講話
生徒の皆さんが集合したのは、つくば駅近くの交流拠点co-en。つくばセンタービル内にあるこの場所は、ワークスペース・シェアキッチン・イベントスペース・カフェ&バーなど、多様な活動ができるプラットホーム。まちなかの人と人、コトとコトをつなげる場として2022年5月にオープンしたばかりです。
ここでお話をしてくださったのは茨城県観光物産課の小林直人さん。これから茨城県について探求を深めていくにあたり参考にしてもらおうと、
・アクセス
・観光資源
・グルメ
など、茨城県全体の紹介をしていただきました。「茨城県に来たことがある人?」と尋ねると、挙手したのは2名のみ。茨城の概要を掴むよいきっかけになっていればうれしいです。
講話の中で、茨城県では今年から3年間の茨城デスティネーションキャンペーンが開催が決定したとの説明が小林さんからありました。JRグループ6社と県が一体となって観光資源の紹介等を行う国内最大規模のキャンペーンです。
今回の鎌倉学園さんの探求学習は、生徒の皆さんが発見した茨城県の魅力を動画にまとめることをゴールに設定しています。
ご担当の先生からは「この探求学習が21年ぶりのデスティネーションキャンペーンと重なるなんて、これ以上ないタイミング。うまくまとめられた動画は県庁のホームページで紹介してもらえることもあるので、みんなの若い視点を駆使してぜひ茨城県をバズらせてほしい」というお話も。生徒の皆さんの探究活動に対するモチベーションがぐっと高まるのが感じられました。
2. HATAKEカンパニー見学
その後は、バスで移動して株式会社HATAKEカンパニーの見学です。
https://hatake.co.jp/
案内してくださったのは代表・木村 誠さん。大学時代は工業経営学科で学び、学習塾での講師、農業資材の販売を経験した後、自身の農園経営を始めました。未経験からベビーリーフを中心に有機野菜の製造・販売を行っているという木村さんのお話は、野菜や農業に関することはもちろん、会社経営や仕事でのこだわりなど、学びがぎっしり詰まっていました。
今回は時間の関係で農場見学はできなかったのですが、工場の中に入れていただき、加工の様子を見ることができました。
朝収穫した野菜はすぐに工場に運び、2回の選別作業をすること。
その後は、お店に並べるためのパック詰め作業。
パッキングを終えた野菜は、箱詰めして出荷します。決まった時間に決められた取引先まで運ばないと取引が成立しないため、物流はとても大切だと説明に力を込めていました。
到着時はベビーリーフがどんなものなのか分からない生徒さんがほとんどでしたが、収穫した野菜や、出荷されるまでの作業の様子を実際に見て、短い時間で理解をぐっと深めることができた様子でした。
見学の最後には質問に答えてくださる場面も。
・虫がつきやすいなどの問題があるにも関わらず有機栽培にこだわる理由
・農業経験0から規模を拡大させてきた木村さんが、ここまで挑戦し続けてきた理由
など、生徒さんからの質問にも詳しく答えてくださいました。
最後に「目標を持つことが大事。無駄なことなんて何一つなく、絶対何かの意味がある。夢をもって、ぜひそこに向かって努力してほしい」と力強いメッセージをいただいて見学を終えました。
3. 高エネルギー加速器研究機構見学
つくばといえば、科学のまち。現在は2万人を超える研究者が最先端の研究機関に集まっています。その魅力を体験できるスポットの中から今回は、最先端の大型粒子加速器を用いて、宇宙の起源、物質や生命の根源を探求している高エネルギー加速器研究機構(KEK)に向かいました。
https://www.kek.jp/ja/
KEKの敷地は大変広く、ディズニーランドとディズニーシーを合わせたのと同じくらいの面積があるといいます。職員さんも車や自転車に乗って移動しているという構内を、生徒の皆さんは今回バスで見学して回りました。
こんなに広い敷地で高いエネルギーをもった電子と陽電子をぶつける実験をするために、もっとも大きなものだと直径1kmもある円形の加速器があるとのこと。ここでの実験をくり返し行うことで、宇宙の発展過程で消えた反物質の謎に迫り、新しい物理法則の発見を目指しているそうです。
見学では、研究者の方が施設内を説明しながら案内してくださいました。加速器は国内にもいくつかありますが、大型の電子陽電子衝突加速器は国内にはKEKだけです。建物内にはたくさんの国の国旗が掲げられているスペースもありましたがこれは、世界中の研究者がここに集まり、研究を進めているからとのこと。実験のための設備も国内外の機関が開発したものが組み合わされてつくられており、世界中の人々の協力があって行われている共同研究であることが随所に感じられました。
実験施設の中は狭く、装置の下をくぐったりする必要がある所もあり、研究者の方の解説を聞きながら探検するような雰囲気で見学させていただきました。
高度な研究のためすべてを理解することはなかなか難しいのですが、生徒の皆さんも見たことがない実験器具や、研究者の方のお話する壮大な研究のお話に高揚した様子での見学となりました。
4. 振り返りMTG
夕食後はco-en内に戻り、1日のまとめを行いました。行ったのは、この日撮影した写真の中から特に印象深いものを1枚選び、そこにキャッチコピーを添えて魅力を伝えるという活動。写真と言葉を1枚の画像にまとめます。
「茨城県の魅力を動画で伝えることがこの活動の大きなゴールです。それを見据えて、今日体験したことも魅力が伝わるようにまとめてほしい」と担当の先生方から活動の意図が伝えられました。
今日の1枚として多数選ばれていたのは、KEK内の実験装置とグルメの写真。
KEKを選んだ生徒さんは、行われている実験やその設備、目指しているもののレベルの高さについて言葉を添えていました。
また、昼食で立ち寄った県内で人気の和食レストラン「ばんどう太郎」のうどんや、夕食時の「つくば蕎麦物語 一成」で食べた石臼引き十割そばのおいしそうな写真に、各自の感じたおすすめポイントを表現したものも多く見られました。やはり、美味しいものは記憶に残りやすいようです。
始めは「キャッチコピーって難しいね」と悩む姿が見られましたが、独自の表現を見つけていく姿はさすがです。徐々に、フォントの色などのデザインにもこだわる生徒さんも出てきて、中にはそのままポスターとして張り出せそうなクオリティの作品もありました。
茨城の良いところをたくさん見つけてくださって、うれしい限りです。
2日目は石岡市へ
つくばで見学メインの1日目を終えた生徒さんたち。翌日は石岡市へ向かいます。自然と触れ合う体験活動がメインの2日目の様子はこちらからご覧ください!
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