レポート
「自然」も「科学」も一度に学ぶ|教育旅行なら体験王国いばらきへ!
限られた時間の中で、できるだけ多くの、良質な体験をさせてあげたい。
先生方は、受け持ちの生徒さんに対し、そんな思いをもって日々の教育活動にあたっていらっしゃるのだと思います。
それは、校外学習や修学旅行など、お子さんたちの思い出に残りやすい行事なら尚のこと。
どこに行って、どんな体験活動を盛り込むか、計画に頭を悩ます先生方もきっと少なくないでしょう。
そんな先生方にぜひおすすめしたいのが、茨城への旅行です。
長く続くコロナ禍の今、予期しないことが起きても首都圏なら日帰りできる距離にあります。同時に、『にほんの里100選』に選ばれた茨城県石岡市の旧八郷町地区などで豊かな自然にも、研究学園都市・つくばで最先端の科学にも触れることが可能。
1度の校外学習・修学旅行で、自然にも科学にも触れてほしい!と考える学校さんにはぴったりの訪問先なんです。
実はきたる2023年は、茨城県にスポットライトがあたる年。
「体験王国いばらき」というキャッチコピーのもと、国内最大規模の観光キャンペーンの開催地に選出されていることもあり、ぜひ茨城に注目してほしいタイミングでもあります。
今年2022年は、そのプレキャンペーン期間。11月10日~11日には、各地の旅行関係の方に茨城にお越しいただき、教育旅行にぜひ訪れてほしい場所の中からピックアップした数か所を巡ってご案内しました。
その訪問地の中からこの記事では、2日目に訪れた4か所の魅力と体験できる内容をご紹介。私たち・森と未来の学校がご提案する「森」と「未来」を一緒に旅して体験してみる気持ちで読み進めていただけたらうれしいです。
▼目次
【森の体験1】神生バラ園でたくさんの切りバラの世界に触れる
この日、朝一番に訪れたのは神生バラ園さん。『にほんの里100選』に選ばれた豊かな自然のある八郷で、年間を通じて20種類以上のバラを育てて販売している切りバラ農家さんです。1974年から生産を始めたバラたちは、都内の市場を通じて青山フラワーマーケット等に届けられているのだとか。
バラは、ロックウールに植える高設栽培で育てています。土は使わないんですね。コンピュータが自動で1日8回栄養分を含んだ水やりを行います。
この日神生バラ園を訪れた方のうち、女性に人気があったのは可愛らしい名前のバラ。「キャラメルアンティーク」「ウエディングドレス」など、名前からして愛らしいバラの色や匂いの違いを比べて楽しんでいました。
一方、男性参加者の反応が一番良かったのは、この緑色のバラ。
名前は「リューイーソー」。古くからあるバラなのだそうですが、名前の由来はなんと麻雀の役。緑色の牌のみを使って手を揃えることから、この名前がついたのだとか。バラと麻雀、思いがけない組み合わせに「これだけは名前を覚えて帰ろう」という声も聞こえてきました。
「バラの魅力は人と同じ」「ひたすら働くお父さんのように、伸びた枝はあえて倒してしまう」などの例えを使いながら、最新のバラ、一番高価なバラ、洗剤等の「バラの香り」とは何なのかなど、バラへの関心がぐんと高まるお話をたっぷりいただきました。
▼以前神生バラ園を訪ねた際のレポート記事もありますので、合わせて読んでみてください。
学校旅行の価値をアップデート
【森の体験2】いばらきフラワーパークでバラと四季折々の花々を五感で感じる
続いて向かったのは、いばらきフラワーパーク。
1か所目の神生バラ園さんに続いて、茨城の県花であるバラを数多くみられるスポットです。こちらでは多くの来訪者に親しんでいただくために広大なガーデンでバラが育てられおり、その数は約900品種、9000株。その多くは日本の気候に合わせて品種改良され、低農薬で育てられる品種を2021年リニューアル時に選定・植え替えをしたとのことでした。
ちなみに、エントランス付近にある「バラのトンネル」には、パークオリジナルのバラであるユイット・カンパーニュが見られます。濃いピンク色が印象的なこのバラは、ロゴに使われているブランドカラーに合わせて育種していただいた品種なのだとか。
パークでは年間で100を超えるアクティビティが用意されているのですが、今回はバラテラスというゾーンの中心を鮮やかに彩っていたアフリカンマリーゴールドの花摘み体験をしました。摘み方のコツを教えてくださったのはパークのフローリスト・間中さん。「ガーデナーさんが綺麗に手入れをしてくださっているものですが、花に触れて楽しんでほしい思いがあるので、家に持ち帰っても楽しんでいただきたいと思って行っている企画です。たくさん咲いている中から、選ばれて持ち帰ってもらえるのは花にとっても幸せなことだと思います」というお話に、お花に携わるお仕事を長くされている方だからこその愛を感じました。
「配られた瓶に入る分なら、何本摘んでも構いません」とのこと。参加者のみなさんはかなり迷いながらも、本数も開花具合も好きなものを選んでいきました。
自宅に持ち帰る花を選ぶとなると、1つ1つの花を見る真剣さが段違いに変化することを実感。せっかくなら、お気に入りの花を連れて帰りたいですものね。今回はマリーゴールドを摘みましたが、季節によってはラベンダーやひまわり摘みもできるそう。お好きな花の開花時期に合わせて複数回訪れても楽しめるのではないでしょうか。
花摘みを楽しんだ後は「レストラン ローズファーム ハウス」に移動してランチ。県内の食材を使った、見た目も華やかで美しい食事がいただけます。
花束のような野菜、自家製ピクルスやエディブルフラワーが添えられたミートパイなど、見た目だけでも楽しめます。「すべて食べられます」というスタッフの方の説明をうけて、皆さん一品ずつ見て、匂いをかいで、味わって、と五感で食事を楽しまれた様子でした。
▼いばらきフラワーパークを訪問した学校のレポートはこちら
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【未来の体験1】元JAXA職員から“宇宙”についての講話を聞く
2か所での「森」の体験を終えたら、場所をつくば市の交流拠点「co-en」に移します。元JAXA試験センター長で、宇宙アドバイザー協会理事の三枝博さんに「宇宙開発は必要か?」というテーマで講話をいただきました。
ロケットの打ち上げや、小惑星探査機の地球帰還のニュースには関心が高く、話題にもします。しかし、考えてみればわたしたちは、何のために宇宙に行くための研究をしているのか、なぜ小惑星に探査機を打ち上げて地表のサンプルを持ち帰って調べているのか、必要性についてあまり考えずに暮らしてきたことに気付かされます。
三枝さんは、
・地球と宇宙のさかい目はどこからか
・人工衛星が地球に落ちてこないのはなぜか
など、知っているようで知らない話から、スライドで写真や図を提示しながら教えてくださいます。
そして本題の「なぜ人は宇宙へ行くのか?」という内容に話をすすめていきます。
お話が難しく、すべてを理解することはできなかったのですが、
・人口増加によって地球環境が破壊されているから
・小惑星が地球に衝突する危険があるから
など、人類が地球に住み続けることが難しくなったときに備えているのだと言います。
ちなみに、人類が定住して生き延びられるよう、惑星の環境を作り変える計画を「テラフォーミング」というそうで、実現には数世紀かかるとのことでした。
現在は、厳しい試験をクリアした宇宙飛行士か、お金持ちの方のみが行ける場所である宇宙。将来宇宙に行くことが当たり前になったら、地球上で現在必要とされているサービス業などに従事する人も必要になります。
三枝さんがある学校のお子さんに「宇宙に行けたら何をしたい?」と尋ねたところ、「わたしはネイルサロンを開きたい」と答えたお子さんがいたというエピソードには、参加者の皆さんも笑い声を上げながら驚いている様子でした。30年もすると、開業場所の候補に宇宙が入るのもスタンダードになっていくのでしょうか…? びっくりです。
最後に、地球全体の問題として進めている宇宙開発を、茨城県に来て学ぶ良さについて三枝さんは「本物が見られること」だとお話してくださいました。JAXA 筑波宇宙センターは、ロケット・人工衛星の開発などを行っている、日本の宇宙開発にとって重要な場所。
この日は残念ながら休館日だったのですが、実物大の人工衛星や本物のロケットエンジン、「きぼう」日本実験棟の実物大モデルなどを間近に見ることができます。
茨城で宇宙を感じられるような本物の展示に触れることが、ある子にとっては人生を変えるトリガーになるかも知れません。日本で宇宙のことを詳しく学べる場所のひとつであるつくば、ぜひ訪れていただきたいです。
【未来の体験2】日本を代表する研究施設・KEKで科学に触れる
この日、さらに移動して最後に訪れたのがKEK。正式名称は、高エネルギー加速器研究機構。つくば市内にある、加速器と呼ばれる装置を使って基礎科学を推進する研究所です。
こちらでは、日本一大きな加速器もあり、それらの実験装置を使って
・宇宙の謎
・物質の謎
・生命の謎
を解き明かすことを目的に、世界各国の研究者たちが集まって日々実験をすすめています。
始めは、こちらで行われている研究を知る入口として、霧箱の制作と、素粒子の観察を行いました。教えてくださるのは青木さん。準備してくださったものを組み立てていくと、簡単に素粒子を観察するための装置・霧箱の完成です。
ここから、各自がつくった霧箱を使って素粒子の観察を行いました。素粒子は地球上に降り注いでいて、霧箱を使うとそれが観察できるそう。
とはいえ、実際にやってみると、これがなかなかむずかしい…!
青木さんから始めに説明のあった「実験は、成功するとは限らない」という心得を胸に、みなさん光の当て方や霧箱の冷やし方を調整して、試行錯誤しながら素粒子を観察していました。
その後は、髙橋さんにKEKや素粒子について説明をしていただきます。
物質の研究についての歴史や、宇宙の歴史などの紹介も交えながら、それらを解き明かすヒントがKEKでの研究で得られるかもしれないとのこと。宇宙や生命の謎が、この研究所で紐解かれていくと考えると、すごい場所にお邪魔しているんだなと実感します。
その後、実際に広い敷地内をバスでめぐりながら、研究施設を見学。
つくばには、KEKのように最先端を行っている研究施設が150ほどあり、そのうち50か所は見学が可能です。最先端の研究なので、職員や研究者の話を聞いても理解することはむずかしいことが多いです。
分からないからといって諦めてしまうのではなく、分かる部分だけを持ち帰って後で自分なりに調べたり、生活の中でちょっとだけ思い出してみたりして、ぜひ2回、3回と繰り返し訪れてほしいと髙橋さんは話します。筆者自身はKEKの見学ツアーに同行させていただくのはこれが3度目だったのですが、KEKが何のための場所なのかすらよく分からなかった初回から、訪れる毎に分かることが少しずつ増えていっていると感じます。
現在、つくばの研究施設を訪れるのはSSHの学校の研修や修学旅行が多いとのこと。ですが、小学生が訪れた際にも、すべては分からなくても小学生なりの理解や発見がある場所です。普通に暮らしていると映画や本の中だけの存在に思える研究者に、実際に会って、研究の様子を見ながら直接説明を聞けるだけでもお子さんたちのプラスになることと思います。
▼KEK見学レポートはこちらにも。あわせてご覧ください。
魅力度ランキング最下位の茨城県の魅力を見つける~つくば市で探究フィールドワーク~
コース別で「かけ橋」に出会う旅|茨城大学教育学部附属小学校4年生探究旅行レポート①
「森」と「未来」も一度で触れる教育旅行は茨城で
今回の旅行では、茨城ならではの自然を感じられる「森」を2か所、最先端の科学を学べる「未来」を2か所巡ってきました。1時間ほどの移動で両方を体験できるのは、魅力がぎゅっと詰まった茨城県だからこそ。
「森」も「未来」も、感じられるスポットはまだまだあるので、ぜひ探求型学習旅行の際は茨城にお越しください~!
茨城県で、子どもたちの未来につながる学びを得られる教育旅行をお届けするプロジェクト・森と未来の学校では、学校ごとのご希望に合わせたオリジナルの旅をご提案。
「総合的な学習のテーマに合わせた旅行にしたい」
「自然と科学、どちらにも触れさせたい」
などといったご希望に合わせ、県内や首都圏の学校の先生方と一緒にプランを考えて実施しています。
本記事以外にも、校外学習や修学旅行でお子さん達に訪れてほしい学べる場所がたくさんあります。教育旅行のご相談は、お気軽にお問合せください。
▼各学校のレポート記事はこちらからまとめてご覧いただけます。
教育旅行アップデート|アーストラベル水戸|note
記事:荒川ゆうこ
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